身が凍りつくような恐怖の体験をしました。イノシシに執拗に威嚇されました。
私は時々、久住高原を夜中に歩き回ります。月や星を愛でるためです。いつものように草原の道を歩いていたら、突然、草をなぎ倒す大きな音がして私の方に何かが突進してきて、私の4-5メートル前で止まりました。そして「フーフー」という唸り声。私はイノシシだとすぐに直感しました。草の丈が高く薄暗いため姿を確認することはできませんでしたが、この辺は国立公園内のため禁猟区でイノシシやシカが多く、飼い犬がたびたびイノシシの攻撃を受けて怪我をしたという話を聞いていたからです。イノシシの突撃と威嚇の唸り声は私がその場を50メートルほど離れるまで執拗に続きました。ただ幸いだったのは、イノシシと私の間には幅2メートルほどのコンクリートでできた川があり、そのためイノシシは威嚇だけでそれ以上には私に近づくことができなかったことです。川がなければ私は確実にイノシシに襲われていたでしょう。
元来、イノシシは自分からは人を襲わない動物です。人の気配を感じると一目散に逃げ出します。この辺で人が襲われた話は一度も聞いたことがありません。多分、出産中か、子連れだったんでしょう。
イノシシと戦っても人に勝ち目はまったくありません。イノシシが牙で突き刺すという話は全くの嘘の作り話です。イノシシは噛みつき専門です。噛みついて、噛みついて、噛みつきまくります。牙の構造は、ちょうど剪定ハサミのようになっています。猟犬がよくイノシシにやられますが、カミソリで切られたように切り口は綺麗でしかも大きく広いです。そのため負傷した犬はしばしば内臓が飛び出します。ただ切り口が鋭利なため、猟師でも木綿針と糸で応急的に縫合ができるそうです。
写真は体重90キロ位の大物のイノシシの下顎骨。向かって左は私が作成したイノシシの牙のキーホルダー。右はパプアニューギニアの首狩り族が首に下げている飾りを真似て作った牙のネックレス。(久住山の仙人)

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