豊後岡藩七万石の城下町、竹田には今も、殿町、鷹匠町など昔ながらの町名が残る。風情ある竹田の街並みに合った良い響きの名である。
私の住む長湯温泉にも珍しい地名がある。「ドイツ村」という地名がそれである。20年ほど前、旧直入町がドイツのバート・クロツィンゲン市と姉妹都市となり、それを記念して付けた地名である。よくある通称名ではなく正式の町名である。随分、変わった名だ。それはそれで良いのだが、私はこれにより少々迷惑を被っている。長湯温泉に観光に来た人が道で、この「ドイツ村」の看板を見かけ、「ドイツ村は何処ですか」と私の家に道を聞きに来るのだ。道を聞く人は、ドイツ村は「長崎オランダ村」のような観光施設に違いないと勝手に思い込んでいる。実際のドイツ村は単にドイツ風の市営住宅が10軒ほど建っているだけなのに。誰が付けたか知らないが罪作りな地名を付けたものである。(久住山の仙人)

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