山崎豊子の小説の面白さの一つは、登場する政治家たちの描写にある。実名の一字だけを変えただけで小説に登場させたり、あるいは役職や独特の癖などをそのまま記述してあったりもする。したがって登場人物が誰であるかを推測するのは至って簡単である。
ここに政治家の山崎豊子評を記してみる。
(山崎女史に最も嫌われたグループ)
× T.K氏:総理経験者:金の亡者、利権屋、権力者、俗人、常識不足、
× M・H氏:通産大臣経験者、元派閥の親分、利権屋、好色、下品
× H.K氏:国会議員、論外の人、人に底知れぬ恐怖感を与える
( やや嫌われたグループ)
●K.S氏:総理大臣経験者、才があり過ぎ、利権も好き
●S・E氏:総理大臣経験者、K・Sの弟 傲岸不遜、利権も好き、N賞受賞は皆ビックリ
●T・N氏:総理大臣経験者、利権好き、謎が多い、したたか
●K・S氏:幹事長経験者、利権家、策謀家、いつも眼が半開き
(良いところも悪いところもある人)
△N・Y氏:総理経験者、野心家、保守傍流のため金に苦労、利権好き
( 好かれたグループ)
○F・T氏:総理経験者、大蔵省主計局長の超エリート、人格・学識最高の人、息子も総理経験
○G・M氏:官房長官経験者、警察官僚でカミソリのあだ名、鋭いが暖かい人間性もある
○O・M氏:総理大臣経験者、「アー・ウー」しか言わないが優れた学識と暖かい人間性を持つ
( 尊敬されたグループ)
☆F・T氏:元共産党委員長、元東大の物理学者、知性の人
☆G・M氏:海軍兵学校出の元海軍参謀、戦後自衛隊の統合幕僚長、超エリート、元参議院議員、山崎評は「日本一頭が良くて、日本一の戦闘機乗りで、日本一格好良い男」、戦後の自衛隊を生み育てた人
(尊敬もするが恐ろしいところもある人)
◎S・R氏:N・Y元総理やG・M元官房長官の参謀役で政治家ではないが山崎小説にしばしば登場、N内閣相談役
陸軍幼年学校→陸軍士官学校→陸軍大学→陸軍参謀の日本一の秀才
陸士時代には学生の身でありながら天皇に講義(御前講義)を行い褒美として日本刀を賜る
山崎評は「あまりにも頭が良すぎ、しかも参謀軍人特有の冷徹さあり、敵にしたら恐ろしい」
山崎豊子女史の人物評論は的確で面白い。(久住山の仙人)
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