
竹田市久住町に「猪鹿狼寺(いからじ)」という珍しい名の古刹がある。宗派は天台宗か何かで、久住町で一番の古い歴史を持つ寺である。寺の今ある場所は「建宮」という地区で、寺は元々久住山の八合目付近にあった。この寺の珍しい「猪鹿狼」という名の由来は、昔、狩りで獲った鹿、猪、狼の霊を慰めることからきたものであろう。狼が狩猟の対象?と不思議に思われる方がおられるかもしれないが、昔は狼も重要な獲物の一つだったようである。昔、日本には、狼と呼ばれるものには、本当の狼と山犬と呼ばれるものの二種類があり、特に山犬は食料にされていたようだ。私の実家辺りには子供の頃、赤犬と呼ばれる柴犬に似た小さな犬がいた。私も子供の頃猟師から貰って飼っていた。体は今の柴犬よりかなり小さく色は強い茶色、尻尾は強く巻いていて小さな体型ながらも格好が良く可愛いかった。ただ、猟師がタヌキやアナグマ用の猟犬として使っていたため気性は極めて荒かった。この気性の荒さのため、赤犬はペットとしては不向きで飼う人が少なくなり今では絶滅してしまったようだ。子供の頃「赤犬を食って美味しかった」という話を時々聞いたが、あの頃の赤犬は山犬の子孫だったに違いない。写真な猪鹿狼寺の門柱。
(久住山の仙人)
PR