台風がこちらに向かって来ているらしいのですが、空は明るい曇り空で雨もなく、風もまったくありません。台風の気配はゼロです。
家の外の向かいの林の中からは「ケッ、ケッ、ケッ、・・・・」とヨタカの鳴く声がもう30分以上も続いています。こんなに鳴いていては、天敵のキツネ、イタチ、テン、カラスなどを呼び寄せるだろうにと、心配になります。
還暦を過ぎた今、もう一度聴いてみたいという音があります。それは、私の生家から20キロほど離れた所にある豊肥線を通る蒸気機関車(D51)が鳴らす汽笛の音です。我が生家は、今は傍を国道442号が通り、その為周辺の空気が乾燥し霧が出ることはありません。しかし昔は、我が家の近くで気流が止められ、そのため家の周りには頻繁に濃霧が発生していました。今日のように曇り空で湿度の高い日には、20キロほど離れた大分県と熊本県の県境にある荻駅、波野駅辺りから「ぼーぼー、ぼーぼー」という低く長い汽笛の音が聞こえてきました。その音はとても物悲しく、まるで地獄の底から聞こえてくるようでした。小さな子供の頃それを聞くと、とても悲しく不安になりました。今は蒸気機関車もなくなり家の周辺の気象も変わってしまいましたので、汽笛の音を聴くことはできません。還暦を過ぎた今、子供の頃に返り、幼い頃に聴いたあの物悲しい汽笛の音を無性に聴きたくなることがあります。(久住山の仙人)
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